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【お知らせ】「人」明日へのストーリー『必死に「今」を生きているカメルーン人を見て、僕は』[愛媛県]
2023.07.13
2016年度1次隊/カメルーン/コミュニティ開発
久場 勝弘(愛媛在住)
【青年海外協力隊に参加した理由】
「海外で誰かのためにボランティアがしたい!」と協力隊参加時は思っていました。しかし、今考えれば、僕はただボランティアがしたかったのではなく、自分の知らない海外の価値観、未知のモノへの「好奇心」が自分を動かした理由だったと思います。
当時は神戸市で市役所職員として働いており、規則的な仕事・安定した将来に虚無感を感じていたのも事実です。自分の知らない未知のものへの挑戦。そういったものへの渇望が自分を動かしたのだと思います。
【カメルーン着任後3か月】
派遣国であるカメルーンに着いて、3か月間。この期間が一番自分の中で精神的に成長した期間だと思います。根っからのビビりの僕は、カメルーンに到着してから、大きくて色の濃いカメルーン人に圧倒されていました。自分の任地へ配属される前も同期隊員から「大丈夫?」と本気で心配されていました。到着後1か月間の語学研修終え、カメルーン首都から任地へ配置されましたが、2か月間は任地から出てはいけない決まりがありました。この最初の3か月間が僕にとって一番きつかった思い出です。
村でも一人だけの外国人の僕。肌の色も違い、初めて村に住む東洋人ということで、もう注目の的でした。そして、周りからお金とものを要求される日々。知らない間に自分の部屋に子どもがあがりこんでいたり、調理器具を隣人に勝手に使われたり。日本と全く異なる環境は、なかなか精神的にきつかったです。
ただ、人間とは不思議なもので、そんな環境にも慣れるものです。そして慣れるだけでなく、自分で自分の境界線をちゃんと測れるようになります。嫌なことは嫌、自分の意思を表現できると相手も分かってくれる。カメルーン人とは価値観は違えど、ちゃんと自己表現することは大切だと思いました。そして、この3か月間で、未知への恐怖心に対する度胸、意志を表現する力を身に着けました。
【カメルーンでの活動】
コミュニティ開発の職種として派遣された僕は、主に道なおし、橋づくり、井戸修理、ハンドメイド講習、家具作り教室支援を行いました。
当初は農業部門の要請内容でしたが、担当だったカメルーン人の同僚とは全く会えず、毎日、村を散歩し現地の人と会話しながら、自分ができること、したいことを実行しました。その中で、うまくいったのが橋づくり、あまりうまくいかなかったのが道なおしでした。この二つの大きな違いは、作業を手伝ってくれる人のやる気を高めることができたかどうかです。
道なおしは僕発信で僕が主体的に行っていました。橋作りは住民発信で村長村民を含めて住民主体。そしてなにより住民のやる気をださせるのに一番大きかったのは、「差し入れ」だったかなって思います。日本でも、みんなで何か作業をする時、差し入れがあるとやる気が出ますよね?それって全世界どこでも一緒だと思います。
初期の頃は「僕はボランティアで、みんなのために活動しているから差し入れは持っていかない」と思っていましたが、頑張っている人を見ているとだんだん応援する気持ちに変わり、差し入れを持っていくようになりました。差し入れを持っていくと、休憩時間のメリハリもつき、コミュニケーションもはかれます。大阪のおばちゃんが持ち歩いてる飴のように、「差し入れ」も相手との距離をぐっと近づける効果があるのかもしれません。
外国に住んでいると「自分は日本人で現地の人とは違う人種だ」と思うことがあります。もちろん見た目や人種は異なりますが、気持ちは一緒なんだと思いました。嬉しいことは嬉しいし、嫌なことや嫌と感じる気持ちに日本人も外国人もあまり差はないと感じます。
【カメルーンから帰国して、変わったこと】
カメルーンから帰国して5年目の僕は、今、地域おこし協力隊で愛媛県西予市にいます。
農業のかたわら、アフリカ布ハンドメイドのアトリエを運営しています。
帰国時は一度市役所へ復帰しましたが、カメルーンで毎日を必死に生きている人たちを見てきた僕は、自分の「今」が本当に幸せなのだろうか?と疑問を持つようになったのです。安定した将来の見える職業で働くことができるのはとても恵まれていることです。しかし僕は「自分にしかできないことをする人生」を選択することを決意しました。退職後、タイなどを放浪し、そして愛媛県へ移住しました。
なので、僕は今、アトリエでカメルーン時代から活動しているアフリカ布のハンドメイドとカメルーン料理を提供しています。アフリカ布の魅力は、自分が好きな柄の布でものを作り、それを身に着けることで個性を表現できること。「みんな一緒」ではなく、「自分」を主張できる「自由」なものであってほしいと僕は思っています。
そして、数年後にはまた途上国へ行き、現地の人たちが自分でお金を稼げるように、自分が培ってきた知識や経験を伝える活動していきたいと思います。自分しかできない経験を日本で伝え、日本で経験したことを海外で活かしていきたい。
【海外に興味ある方へ】
世界は広く、おもしろい。そして、想像もできないくらい多くの人や風景、価値観があります。
僕はそれに触れ、いい意味で「自由」になりました。
まだまだ世界には生まれた場所の状況で、自由な人生を選択できない人が多くいます。カメルーンも生まれた家柄によって自由に自分の人生を選択できる人は1割もいないんじゃないかと思います。しかし日本はちがいます。こんな自由で恵まれた国はなかなかありません。正直、その途上国との立場の差には仕方ないものがありますが、自由に選択できる僕らだからこそ、遠慮せず自由に生き、そんな人たちを支援することが出来たら幸せだなと僕は思います。
人は何でもできます。色々な価値観を経験し、今を楽しめる人生を進んでください。
【詳細】
独立行政法人国際協力機構ホームページ>JICA四国>「人」明日へのストーリー>必死に「今」を生きているカメルーン人を見て、僕は
https://www.jica.go.jp/Resource/shikoku/story/154.html
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えひめグローバルネットワークは、令和5年度外務省NGO相談員事業を受託しています。
http://www.egn.or.jp/ngo/ngo.html
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