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NGO相談員

【お知らせ】【教師海外研修】現地研修報告 ~五感で学んだラオスの10日間~[中四国,ラオス]

2024.10.11

JICA中国・四国が合同で実施する教師海外研修の現地研修を、2024年8月7日から17日までの11日間、ラオスで行いました。島根県、広島県、山口県から6名、愛媛県、高知県、徳島県から4名の先生が参加され、同行者2名を含む計12名がラオスで様々な国際協力の現場を視察しました。

【ラオスの子どもと会い、感じたこと、知ったこと】
研修初日はJICAラオス事務所を訪問、JICAの事業概要に加え、教育分野の専門家からラオスの教育における課題や現状について話を聞きました。参加の先生方は日本との違いに驚きながらも、その違いが生まれる理由や背景について、活発な意見交換が行われました。中でも「ラオスの子どもたちは学ぶことが大好きです。」というラオス人スタッフの言葉は、参加者の胸に強く刺さったようです。

首都ビエンチャンにある「ラオス日本センター」では、日本語を学ぶ学生と交流しました。先生方が、所属校の児童や生徒も参加して作成した日本紹介の動画やクイズを紹介し、よさこい踊りも披露すると、日本センターの学生たちはとても喜んでくれました。

研修では、世界遺産にも登録されている古都ルアンパバーンも訪問しました。
ルアンパバーン市内にある子どもセンター(CCC)は、子どもの自立を目指した15の活動に取り組んでいます。現在、CCCにはJICA海外協力隊が一人派遣されており、情操教育の補完や日本文化の紹介などの活動をしていました。
CCCの活動に参加している子どもたちは元気いっぱい!ラオスの伝統舞踊や練習している歌を披露してくれました。そのお返しとして、日本の先生方は「チャンパーの花」というラオスでとてもポピュラーな歌をリコーダーで演奏し、子どもたちと一緒に歌い、踊って交流しました。

ルアンパバーンでは、「JICA草の根技術協力事業」として少数民族の学習支援を行う「シャンティ国際ボランティア会(SVA)」から、活動内容と少数民族の学習状況についても話を聞きました。SVAは、日本の絵本をラオス語など複数の言語に翻訳し、翻訳絵本を開発途上国に送る活動を長く行っています。ラオスでは、公用語のラオス語を使用しない少数民族の子どもの学習定着率が低いことに着目して、楽しくラオス語を学べるように読書推進活動や子どもの居場所運営を展開しています。

ビエンチャンでは、ラオス唯一の教科書印刷会社を訪問し、ラオスの学校で実際に使われている教科書を見ました。英語の教科書にでてくる果物がマンゴーだったり、理科の教科書にはヤシの木がでてきたりと、それぞれが興味のある教科書を見て、日本との表現の違いを発見する機会となりました。

【水、医療、法-生きるために必要なことと国際協力-】
ビエンチャンにある浄水場を見学し、日本が技術協力を行うプロジェクトの一つ「水道事業運営管理能力向上プロジェクト(MaWaSU)」について学びました。水道普及率25%ほどのラオスに派遣された日本の技術者が、その知見を活かしてラオスの水の安全を守っている話を聞くことができました。
日本の小学校では水、浄水場の学習をする単元があります。また、今回の参加者には高校の化学の教員もおり、それぞれの立場と視点からの様々な質問が、途切れることなく続いていました。

日本の無償・有償資金協力等で建設されたナムグムダムと、JICAによって拡張支援が行われたナムグム第一水力発電所も訪問しました。ラオスでは経済成長に伴い国内の電力需要が伸びており、安定した電力供給、エネルギーの安全保障が求められています。第一水力発電所の拡張工事は、ラオスの電力需要が増えたことで当初予定より工事が複雑になったようですが、日本の技術で拡張工事が無事に着工されたそうです。

ビエンチャンの国立セタティラート病院では、救急救命室から産婦人科、歯科などいろいろな診療科を見学させてもらいました。この病院は建物だけでなく、機材やシステム、医者の人材育成など様々な形で日本の支援を受けています。これらの状況を知り、日本の技術がラオスの医療の発展に貢献していることを誇りに思うと同時に、1つの病院だけでこれだけ多くの日本のサポートを目にした驚きや戸惑いを隠せない先生もいました。

研修の最終日には、「法の支配発展促進プロジェクト」のオフィスを訪問しました。ラオスでは、ラオスの法律を体系的に理解し、理論と実務の双方を考慮しながら裁判実務や法学教育を行なうことができる人材が不足しているため、JICAは司法省、最高人民裁判所、最高人民検察院に加えてラオス国立大学も支援対象として、プロジェクトを実施しています。ラオス固有の法律があったり、村社会の制度が残っているがゆえの困難もあるようでしたが、逆に「日本にもあったら良いな」と思うような法律があったり、法律の面からラオスと日本を比較することができました。

【ルアンパバーンでラオスの伝統的な生活や価値観に触れる】
ルアンパバーンでは、「一般社団法人エコロジック」が「JICA草の根技術協力事業」で実施しているインタープリテーション(心に残るメッセージを相手に伝えるための、コミュニケーション手法)を取り入れた公認ガイドの育成の様子を見学しました。ガイドが一方的に解説するのではなく、鳥の捕まえ方や包丁を作っている様子など、村の伝統的な生活を実際に見せてもらうことで、ルアンパバーンの村人の日常生活を垣間見ることができました。このロンラオ村では、ホームステイも体験しました。井戸でくみ上げた水を外で浴びたり、料理は薪を使って火をおこしたり…。先生方は戸惑いながらも、村の人の生活を知ろうと村の人と同じように生活をしてみました。
夜は虫の鳴く声と葉っぱが揺れる音を聞きながら就寝、そしてニワトリの鳴く声で目覚める朝。日本とも首都ビエンチャンとも違うルアンパバーンの自然とともに過ごしたホームステイは、「幸せとは何か」を考えるきっかけになったようでした。

穏やかでのんびりとした時間の流れるラオスは、日本人があまり知らない負の遺産を抱えています。ルアンパバーンでは、不発弾(UXO)の実物や、除去活動について展示をしているUXOビジターセンターを訪れました。
ラオスには、ベトナム戦争時の不発弾が今もなお大量に残されています。UXOビジターセンターを運営する組織「UXO Lao」からは、不発弾の除去活動について話を聞きました。その後は、実際に不発弾の除去作業をしている現場へ。私たちが見学した場所では、その日だけで既に3発の不発弾が見つかっていました。

【ラオスで活動するJICA海外協力隊】
ルアンパバーンでは「ルアンパバーン国立博物館」を訪問し、そこで活動する宮脇好和隊員に現在の活動について話を聞きました。欧米でも有名なルアンパバーンには観光客が年々増加しており、博物館の来場者も積極的な広報をせずとも増えているそうです。そんな環境で、隊員として持続可能な活動を探すことが難しく、派遣されて半年は毎日博物館の前に立って観光ガイドにインタビューしていたのだとか。そのおかげで100名ほどのガイドと友達になり、現在は博物館のパンフレット作成に取り組まれているそうです。

ビエンチャンでは、「バンクーン教員養成校」を訪問しました。夏休み期間であったため教員になるために通っている学生はいませんでしたが、夏季休暇中に行われる教員研修プログラムを見学しました。バンクーン教員養成校にはこれまでもJICA海外協力隊員が派遣されており、理科教室にはその活動の名残も垣間見えました。現在は2名の隊員が活動しています。小学校教育の指導をする山本佳奈隊員からは、日本と同じようにラオスも教員志望の若者が減っていることなど、日本とラオス共通の課題を聞きました。

【日本の子どもたちへ何を伝えるか】
研修最終日の午後、JICAラオス事務所で研修報告を行いました。現地で見て、聞いて、感じたことや考えたことを帰国後に学校現場へどう還元していくのか、10名の先生方がそれぞれ報告しました。
小学校から高校まで、異なる校種の先生方が参加されたため、今回の学びをどの授業で扱い、何を伝えるのかは様々ですが、全員に共通しているのは「百聞は一見に如かず」ということ。感情を揺さぶられるような毎日を過ごす中で、五感の全てを使って学んだラオス、国際協力、開発の現場では、渡航前までの考えを覆されるようなことがたくさんありました。10日間のラオスの経験を学校にどう還元していくか、どのように児童生徒に伝えていくのか、先生方の見せ場はこれからです。

【現地研修レポート】
参加の先生方による、訪問先での出来事、想いをまとめたレポートです。
※詳しくは、下記詳細ページのラオス現地研修レポート(PDF)をご確認ください。

【詳細】
独立行政法人 国際協力機構ホームページ>日本国内での取り組み>JICA中国>ニュース&メディア>トピックス>2024年度>【教師海外研修 現地研修報告】五感で学んだラオスの10日間
https://www.jica.go.jp/domestic/chugoku/information/topics/2024/2024_s27.html


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四国グローバルネットワークは、令和6年度外務省NGO相談員事業を受託しています。
https://www.sgn.or.jp/ngo/ngo.html

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