【お知らせ】「人」明日へのストーリー「モンゴルでの協力隊ライフ」［香川県］

2021.06.02

【青年海外協力隊を目指したきっかけ】
私は幼少のころからピアノを習っていて、音楽一筋でした。小学生だったある時、学校の図書館で「世界がもし100人の村だったら」という絵本を偶然見つけ、読んでみました。そこには、世界には貧しい人たちが大勢いて学校に行けない子供もいること等が書かれており、生まれる国が違うだけでこんなにも生活が異なってしまうということを知り衝撃を受けた記憶があります。そこから自分の中で漠然と「いつか外国で困っている人達のために働きたい。」と考えるようになりました。これが国際協力に興味を持ち始めたきっかけです。
そして高校生になり、学校の授業で、協力隊OBの方の講演会を聞く機会がありました。これまた偶然なのですが、その協力隊OBの方の職種が音楽だったのです。この時に、「音楽でも国際協力に貢献できるんだ」ということに気づかせてもらい、協力隊に参加しようと心に決めました。実際に協力隊に参加したのは、大学卒業後、数年間企業勤めをした後となります。

【現地での活動】
私が派遣されたモンゴルで行われていた音楽の授業は、これまで私が受けてきた音楽の授業とはまるで異なるものでした。日本では、歌ったりリコーダーを演奏したりしますが、モンゴルではそのような活動はほとんどありませんでした。その代わり、教科書に掲載されている歌詞や音楽の歴史、作曲家の経歴等を先生が読み上げて、子供がノートに書くことに授業時間の大半を費やしていました。「音楽の授業なのにほとんど字を書いているなんて面白くない！」と感じた私は、同僚の音楽の先生に対して、私が今後授業をどういう方向性へ持っていきたいか、話し合いました。彼女は理解を示してくれましたが、そうすることによって子供たちにどういう効果があるのかまではモンゴル語で上手く伝えられず、そこまで乗り気ではないような雰囲気でした。伝えられないのなら、実践で感じてもらうしかないと考えた私は、子供たちに焦点を向けることにしました。子供たちが音楽の授業を楽しんで受けてくれるようになれば、同僚の先生も自発的に行動してくれるようになると思ったのです。
そこからの音楽の授業は、私が作成した「はじまりの歌」を号令代わりに歌ったり、リコーダーを演奏する時間を増やしたり、とにかく活動する時間を増やしました。リコーダーで1曲初めて演奏できた時の、子供達の達成感で溢れる嬉しそうな笑顔は今も鮮明に覚えています。残念ながら新型コロナウイルスのため帰国を余儀なくされたので、思い描いていたシナリオに向かって最後まで現地で活動することはできませんでしたが、子供たちと音楽で楽しい時間を共有できたことは私の中で大きな財産となっています。
授業とは別に、課外活動でピアノサークルも行っていました。鍵盤楽器に触れたこともない子供ばかりでしたが、鍵盤のドレミを覚え、一緒に楽譜を読めるようにトレーニングしました。徐々にですが、ピアノを楽しいと思ってもらえるようになり、私自身もとても嬉しかったです。

【現地での生活】
青年海外協力隊の現地での生活は、厳しいものを想像する方が多いと思いますが、私の場合は特に苦労したという記憶はありません。というのも、モンゴルは比較的インフラが整っているのに加え、モンゴル人の優しさにいつも助けられていたからです。買い物している時にわからないことがあれば店員が教えてくれ、家の水道管や洗濯機が故障した時も電話したらすぐに修理に来てくれました。外国人というマイノリティの立場で生活するのは初めてだったので、対人関係等で苦労することを想像していましたが、そのようなことは全然なく、寧ろ興味を持って慕ってくれました。一人暮らしで困っていることはないかどうか、いつも気にかけてくれていたことに感謝しています。

【帰国して思うこと】
私は1年2ヶ月の滞在で帰国しましたが、それでも帰国して日本で生活を始めると、懐かしさはもちろん、出国前までには感じたことのない違和感を覚えました。それだけモンゴルでの生活に馴染んでいたということなのかもしれません。どのお店にいっても品揃え豊富で選ぶのに脳と目が疲れたり、他人に迷惑をかけないように気を使って生活していたり、時間に厳しかったり…。帰国当初は息苦しさを感じながら生活を送っていました。今ではすっかり元通りで日本に慣れましたが、お互いに迷惑をかけるのは当たり前だから許し合おうという考えのモンゴル人と、自然豊かなモンゴルの風土が恋しいです。

【詳細】
独立行政法人国際協力機構ホームページ＞JICA四国＞「人」明日へのストーリーモンゴルでの協力隊ライ
https://www.jica.go.jp/shikoku/story/136.html

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