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【お知らせ】「人」明日へのストーリー『ルワンダでの経験とこれから』[徳島県]
2023.09.21
2016年度1次隊/ルワンダ/理科教育/布川匠二(徳島県出身)
【JICA海外協力隊でルワンダへ行くまで】
大学を卒業後、地元徳島県で中学校の理科の先生として採用されました。はじめの3年間は先生の仕事に慣れることに必死で、与えられたことをやり遂げることで精一杯でした。初任者としての3年間が終了し、学校が異動となり少しずつ仕事にも慣れていっていたころに、ふと自分の心の中で「自分の人生、このまま無難なままでいいのだろうか?」「これから長く続くであろう教員人生で、誰も持っていない武器が欲しい」というように考えることが多くなりました。
そんな時、職員室で、JICA四国が実施している教師海外研修のパンフレットをたまたま手に取り「とりあえず行動してみよう!」と思い立ち、研修に参加しました。夏休み中の10日間という短い期間でしたが、アフリカのエチオピアに行かせてもらい、現地で活躍されている青年海外協力隊の方や、その活動を支えるJICAの存在を知りました。エチオピアでの経験に刺激を受けている中、JICAの方から現職の先生が参加できる現職教員特別参加制度の存在を教えてもらい、「行くなら結婚前しかない!このチャンスを逃せば一生後悔する!」と考え応募することにしました。
【いざ、配属先へ!】
派遣されたルワンダは「千の丘の国」といわれるほど起伏の多い地形です。赤道直下にあり熱帯サバナ気候に属していますが、平均標高1,600mの高原に位置するため、年平均気温は25℃と非常に過ごしやすい天候となっています。3~5月と10~12月が雨季となっています。
公用語は、現地語であるキニアルワンダ語、ベルギー植民地時代からの名残であるフランス語、2007年から追加された英語、2017年から追加された東アフリカ共同体の公用言語であるスワヒリ語の4言語です。現地語のキニアルワンダ語は、ルワンダ全国民が話すことができます。
ルワンダの都市部では、英語またはフランス語は大抵の人が話すことができます。ホテルのレセプションの人や、政府機関などで働いている人、高等教育を受けている人は、大抵英語とフランス語を話すことができます。一方で農村部に行くと、英語はほぼ通じません。たまに英語で基本的な日常会話を話せる子どもや単語を並べて何となく意思疎通ができる方もいます。農村部の年齢がある程度上の方で地域を束ねる役職についている方だと、フランス語は流暢に話せるけど英語はできないという人もいます。
人口は約1,500万人ですが、国土は四国の約1.5倍の小国なのでアフリカの中でも人口密度はかなり高くなっています。1994年に農耕民族の多数のフツ人と遊牧民族の少数のツチ人との内戦により大虐殺がありました。800万人の人口のうち、1割の80万人が犠牲になったと言われています。その反省から今では部族という概念をなくしています。現在では、治安は本当に安定しており、経済の成長も著しく、「アフリカのシンガポール」とも言われています。
【学校の先生・生徒たちとの生活】
私が派遣された学校は首都キガリの東部に位置している私立の中等教育学校でした。生徒数はおよそ1,000人で、生徒のほとんどが学校の敷地内にある寮で生活していました。日本とは違い担任の先生はおらず、授業を行う先生と生徒指導を行う先生に分かれて勤務を行っていました。生徒は教科書を持っておらず、基本的にはノート1冊とボールペン1本で授業を受けていました。
私は1年生に物理と化学を教えていたのですが、設備や備品に恵まれていなかったので、実験や観察を行うことが非常に困難でした。そこで、現地で調達できるものを活用して、出来るだけ多くの実験や観察が行えるように工夫しました。また、現地教員は実験や観察の仕方をほとんど知らず、ただ板書をしてそれを生徒が写すといった授業が行われていることがほとんどだったので、現地教員の授業参観を行い、アドバイスを送っていました。先生としての社会的地位が高くないため、仕事へのモチベーションの低い先生も多く、学校の先生が辞めてしまうことが多くありました。また、雨が降れば先生が出勤しなかったり、給料が支払われず先生がストライキを起こすなど、日本ではなかなか考えられない出来事も多くありました。
音楽や体育の授業はなく、ほとんどの授業で詰め込み型の授業が実施されていました。また時間を守る習慣がないため、先生や生徒が時間通りに教室にいないことも多くありました。
【活動中に感じたこと】
赴任してすぐの期間は、語学力のなさから伝えたいことが伝わらず、活動への焦りも相まって人間関係がうまくいかなことが多かったです。先生や生徒たちの時間のルーズさや物を大切にしないことなど、感覚の違いに苦労しました。でも、自分のなかでルワンダ人にはルワンダ人の文化や習慣があり、それらを尊重しながら活動することが大切だと考えを改めることで「現地のやり方に寄り添ってのんびりやればよい」と思考を切り替えることで少しずつ活動もうまくいきました。
やはり、一方的に自分の考えを押し通すのではなく、相手の思いや習慣に寄り添って支援を行っていくことが大切なのだと強く感じました。
【帰国後の社会還元】
ルワンダ共和国での経験は、帰国後の生活に大きな影響を及ぼしました。その経験を学校現場に還元したいと思い、国際理解教育の実践を行っています。今までに総合的な学習の時間で、体験談を交えながら日本とアフリカとの繋がりについて考える授業や、国際協力の方法について考える授業などを行いました。
授業後の生徒からの感想では「途上国の支援をする際には、その国の文化を理解して思いやる気持ちも大切だと感じた。」「『アフリカ=不幸』という風に考えていたけど、今回の学習を通して、改めて幸せとは何かを考えさせられました。」など前向きな意見を聞くことができています。今後も学校行事や生徒会活動などを交えながら継続的に国際理解教育を行っていきたいです。
【帰国後に感じること】
ルワンダで理科教育の支援を行うことを目的にJICA海外協力隊に参加したのですが、実際はルワンダの人々にずっと支えられていたように感じます。今でもSNSなどで近況報告をしてくれるルワンダ人の先生たちには元気をもらっています。ルワンダでの経験を通して、みんなで協調することや時間を守ることなど日本で身についている習慣は、これから世界で活躍していく上でも武器になるということを強く感じました。
また、およそ2年間の生活を通してルワンダのことが好きになると同時に、日本のことも改めて好きになりました。一度日本から離れてみて、改めて日本の良さに気付けました。
ルワンダでの経験を活かしながら、これからも自分にできることをコツコツと頑張っていきたいと思います。そして、いつかまたルワンダの地にもう一度行ってみたいと思います!
【詳細】
独立行政法人国際協力機構ホームページ>JICA四国>「人」明日へのストーリー>必死に「今」を生きているカメルーン人を見て、僕は
https://www.jica.go.jp/Resource/shikoku/story/154.html
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えひめグローバルネットワークは、令和5年度外務省NGO相談員事業を受託しています。
http://www.egn.or.jp/ngo/ngo.html
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