【お知らせ】【教師海外研修 帰国後研修】ラオスでの学びを子どもたちに伝えるために［中四国,ラオス］

2024.11.05

【たくさんの情報、想いをどう授業にするか】
2024年8月31日(土)、9月1日(日)の2日間、JICA中国・四国の教師海外研修 帰国後研修を行いました。大型の台風接近に伴い、あいにくオンラインでの開催となりましたが、2週間ぶりに会う先生方は元気と笑顔でいっぱいです。

最初に、海外研修先であるラオスに同行した広島県国際協力推進員の新庄さんの進行で、現地での学びや気づきをふり返りました。渡航前に抱いていたラオスのイメージとそのギャップ、また現地で印象に残っているテーマやキーワードで授業につながることがあるかどうかなど、多くの情報を整理していきました。

その後、2023年度教師海外研修に参加した2名の先生に、海外研修の学びからどのような授業を展開されたのか、実践事例を発表して頂きました。
島根県浜田市立長浜小学校の勝部知早野先生は、昨年の訪問先であったナミビアで感じた社会の多様性から、目の前の子どもたちにも他者を尊重し、共生するためのコミュニケーションの在り方を考えてほしい、というねらいで作成した教材を紹介してくれました。また、鳥取県立米子東高等学校で日本史を教える藤原孝夫先生は、日本では誰もが知っている昔話からアフリカの奴隷制や植民地支配の歴史を考える授業を実践され、前後の授業の流れや生徒の反応も含めて発表してくれました。

お二人の先生の授業実践を聞いたのち、ブレイクアウトルームに分かれて、今年度参加の先生方が各自考えている授業案をそれぞれ発表し、意見交換を行いました。教師海外研修の目的は、現地で見聞きしたことを授業や学校活動を通して児童生徒に伝えることです。自らの目で見たこと、自身が感じたことをそのまま伝えるのではなく、子どもたちに何を考えさせたいのか、そのためにどのような手法で何を伝えるのが適切なのか、全員で考えていきました。

【ラオスを通して、子どもたちになに何を伝える？】
研修2日目は、JICA中国・四国の教師海外研修アドバイザーとして現地にもご同行頂いた川崎医療福祉大学非常勤講師の山中信幸先生による講義とワークショップでした。
経済や医療、教育、都市と農村との格差など、様々な課題を抱えながらも、人々が穏やかで牧歌的な雰囲気の漂うラオス。だからこそ、現地を訪れた先生方は、経済成長の光と影、伝統的な習慣と利便性の高い最新技術が混在する日常を目の当たりにし、開発とは、発展とは、そして幸せとはなにか、考えを巡らせる日々だったそうです。
そんな先生方の様子を見ていた山中先生が展開して下さったワークショップのテーマは「『豊かさ』とはなにか」でした。現地の市場と日本のスーパーの写真を比較して豊かな食生活を考えたり、自分にとっての居心地の良い場所を考えるなど、自分の日常生活とラオスでの経験を照らし合わせることで、一人一人が感じる豊かさや幸せについて考えていきました。
2日目の最後には改めて、参加者それぞれが考えている授業案を校種ごとに分かれて共有し、意見交換を重ねながらブラッシュアップしていきました。

ラオスで実際に見聞きしたこと、感じたことを先生自身の中に落とし込み、限られた授業時間の中で児童生徒が理解し、自分事として考えるように発信することは容易ではありません。先生方は、それぞれの目の前の子どもたちの顔を想像しながら授業案を練っていきました。
教師海外研修への参加とそれに続く授業づくりの経験は、今後もずっと活かすことのできる、先生方にとっての「大きなお土産」になるのではないかと思います。まずはその第一歩として、今回考えた授業を通じて、先生方それぞれの想いが児童生徒たちに届きますように。皆さんの授業実践のご報告を楽しみにしております。

（報告：JICA中国/JICA中国インターン生　関西学院大学　杉町晏珠）

【詳細】
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